組織のトップ

以下は、組織はトップの器が大事という視点から、これまでの行政経験を基に若手向きに綴ったのをアレンジしたものです。参考まで

はじめに
私は、これまで農水省に勤務し、その間、JICA、OECF、水資源開発公団(現独法他)、地域環境資源センター(一社)などへもそれぞれ約2年間出向しました。又、勤務地も東京、各地方農政局、海外と多様で、仕事の内容も、制度設計、予算編成、国会・現場・災害対応、法案策定、ODA、水行政、自然環境保全等々様々なことに従事してきました。その中で常に頭にあり、今も心掛けていることの一部を記載させて頂きます。

大局観を意識すること
目先のことばかりに追われていると、木ばかり見て森をみることを忘れ、本来の趣旨からずれ本質を見失い兼ねないということがあります。 農水省の公共工事で言うならば、工事を実施することが目的ではなく土地改良区や農家(エンドユーザー)の視点を見失わないということです。

技術を維持(保持・向上)するには現場が必要
京都や奈良には神社・仏閣が多く昔の建築に対する修復技術は今もありますが、威風堂々とした木造建築や宮大工の世界は現在風のハウスメーカーに押されてニーズが少なくなり、若手の大工にはもはや昔の技量は心細いということをよく聞きます。「現場に答えあり(現場主義)」という言葉が用いられますが、いろんな意味で現場を大切にする必要があります。

伝えるべきことは伝える 言うべきことは言う
悪い情報や心地よくない情報ほど早く上司にあげるということはよく言われます。上司も周りがイエスマンばかりだと正確な情報が入らず判断を誤ります。時には建言することも必要でしょう。但し、昔、行政への「陳情」が、今や「提案」という言い方に変わったように、伝え方が重要です。

騒げば知恵が集まる
じっと物事を温め雌伏することや公言できないこともありますが、騒げばいろんな知恵が集まるものです。そのことで、構想が空理・空論でなく実現性が高くなりシナジー効果がでることもあります。又、いろんな分野の方とのリラックスした交流はタスクフォースに通じるものであり大事なことだと思うことがあります。

鈍感力という感性、直観力という知性
「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意思によるものである」という名言がありますが、意思をもって時には鈍感でありたいものです。
 また、直感というのは理屈を超えたものですが、「経験、知識、意欲、意思」などその方の全てが反映されたものであると私は思っており、意外と後付けで論理的に整理してみても正しいことが多いものです。

平和な時代だから自分の頭で考えよう
農水省の設計基準には米国の「工兵隊」や「開拓局」に由来するものがあります。その時代は有事であり考えている時間に制約があることからマニュアルが必要であったと理解しております。今は平和な時代。しかも、新設が少なくなった時代で工種も多種多様で技術は秒針分歩、指針・基準・マニュアルだらけです。(時間のある)この時代だからこそ、それらの現場適用に当たり何故このようなことになっているのか今一度考えたいものです。

おわりに
以上、拙文でしたが、様々な組織に通じるものがあるかと思います。今は、「働き方改革」が進められ、生産性向上がどの分野でも求められる時代ですが、一歩間違えれば競争力を失いかねません。頭脳労働には、知識と知恵がありますが、より大きな付加価値を生むのは後者ではないでしょうか。

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