深い話 その3の前に ちょっと気になること

昨日(2月16日)の奈良NHKで次の事項が放映されたようである。
「イネを枯らす害虫の被害を減らす方法を探ろうと、三宅町は来年度から実際の田んぼで最適な農薬の種類を確かめる実証実験を始めることになりました。

「トビイロウンカ」はイネを枯らす害虫で、去年、広範囲で被害が発生した奈良県では、作況指数が平成10年以来22年ぶりに「不良」となりました。
こうした害虫の被害を防ぐ方法を探ろうと、ウンカによって去年、過去最悪の不作となった三宅町は来年度から実際の田んぼで実証実験を始めることになりました。
実験の期間はことし8月から来年9月までのおよそ1年間で、町内にあるおよそ10ヘクタールの田んぼで、農薬の有無や種類などの条件を変えてイネを栽培し、町の農業環境に合った最適な対策を見つけたい考えです。
町は、実験に必要な経費、およそ130万円を新年度の予算案に計上し、来月の定例議会に提出することにしています。
三宅町や奈良県によりますと、自治体がこのような実証実験を行うのは、全国でも珍しいということです。
三宅町産業管理課の青木周造課長は、「農家の就農意欲が低下して耕作放棄地が増えないように考えた結果、町をあげて実験を行うことになった。効果がある方法を見つけ、その情報を発信することで地域の農家を支えたい」と話していました。」

これを知った瞬間投稿せざるを得ない衝動にかられた。理由は、
1、農業に対してマクロの視点から何もしない三宅町が予算を組むなんて珍しい(例えば、法定外公共物の対策に他町では材料提供等様々な知恵を出しているのに何も知恵を出さない)。
2、実証ってどういうことや?トビイロウンカ対策なんて、農家は馬鹿でないから来年の対策を既に組んでいるのに、今更実証ってどういうこと?その結果を2作も待ってたら農家に効果は波及しないやん!
3、しかも、今年の8月から来年の9月ってどういうこと(予算日程にあわしただけ?暫定予算とか、ゼロ国とか、知恵を出せよ!)?既に、早苗の「箱粒剤」から勝負なのに!しかも、実証の結果って2年後にしかいかされないやん!TVには、「フルスロットル(高価な「箱粒剤」でJAお薦めであるが、既にベトナムや中国でも使っている)」とか農家なら誰でも知っている映像が出ていたけど、町はJAの回し者?
4、実証と言いつつ、10haで行うということは、町所有の農地だけでなく、実質農家の協力を得ないとできないので、実質選ばれた農家への「補助」ということか?その農家の選定は透明性が高いんでしょうね!
5、そもそもウンカ発生は地域特性なんか関係なく、研究機関により既にかなりなされていて、後は「本田」での決め手の農薬が無いだけである。町に私が昨年の発生時電話したのは、「(JA、普及所、大型販店等ある中、農薬や営農に関する)情報のプラットフォームとしての期待であり、(粉粒機械等の貸し出し等)調整役としての期待」であり、研究所としての期待ではない(三宅町のどこに発生しているのか聞いても私の電話で発生を始めて知った位で情報の終着駅となっている)。奈良県には、「病害虫防除所」があり、国には筑波に「研究所」、各農薬会社にも研究所があり、実証なんてやっても「役場の職員の仕事づくり(遊び)」になれど、成果は期待できない。
5、もし、1年かけて130万円もかけるなら、今年の田植え前から翌年の9月中頃まで行えば、2か年分の有効な実証ができる。
6、職員の遊びにならないように、ひとつでも成果を期待するなら、ステアリングコミッティーを設け、少なくとも「奈良県病害虫防除所」の研究員(この機関を入れれば、変な実証はメンツにかけてできなくなる)と、町の篤農家が入り、構想を相談しながら進めないと全く意味が無い。そして、実証の状況と結果を公表することである。
7、昨年は、町が栽培する水田や農業の町役員の水田が特にウンカの被害が大きかったは周知の事実。
8、電話一本で現場を見ずに物事を断ってきたり、何も勉強せずに立ち合いでくるようなスタッフではこの町がよくなるはずがない。「現場に答えあり!」
9、こんなことにお金とエネルギーを使うなら、高収益作物等の農業に対する骨太の方針や制度設計に費やすべきであり、米は21年産57万トンあまるという予測がある中、複合施設同様、他にも当然すべきことが多々ある。無駄にお金を使わないようにして頂きたい。
10、ドローンへの取り組みは評価するが、ヘリに比し、粉剤に必要な下降気流が小さく対応するにはそれなりの高価な器材が必要で(JAのでは駄目)、粒剤を使うことも考えられる。それも含めてスマート農業(集団防除など)への覚悟があるのか!また、薬剤に頼らず糠には糸状菌があり、これがウンカを殺すことや、合鴨もウンカを食べるが手間暇や収量に影響する。実証の価値があるとしたら、こういうスマート農業や農薬に頼らない農法ならわかるが。

それ以外はやっても、町職員のお遊びで、結果は一過性(普遍性・再現性が無い)のものしか得られないのではないか!

私が勉強、経験、側聞した限りではウンカ対策は次の通り(必須は2と3)。
1、地力増強・土壌改良資材(元肥・穂肥とは別で「とれ太郎や発効ペレット」を冬季に施用)をさぼる人が最近多いが、稲に体力があれば虫に勝つので、これを施用
2、適切な(長期に効き目があるもの:ピラキサルトが含まれるもの)箱粒剤を使う。
3、本田へは、お盆のころ適切な農薬を施用(決め手の農薬はないが時期が大切)
4、(ウンカの飛来時期を考慮し)田植えは遅くできるならその方が望ましい。
5、一発肥えの方が、みている限りいい。
6、中干の良しあしは無関係(水管理はほぼ無関係。ただ、粒剤を使うなら湛水する)。

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